心理学の起源・成立・枝分かれと、心理学の大まかな流れを理解しながら、心理学の発展の過程を理解していきましょう!
古代ギリシャ時代にまで遡る心理学の起源。
心理学ってなあに?
心理学とは「人の心の動き、人や動物の行動を研究する」学問のことです。
心理学は、多くの人々の関心を集める学問でもあります。自分の心を知るためには、まず心理学の起源や成り立ちを学び、心理学の大まかな体系を把握していきましょう。
さて、そもそも心理学とはいつから始まった学問なのでしょう?
一番最初に人の心を理論的に考え、読み解こうと試みたのは、古代ギリシャの哲学者アリストテレスだと言われています。アリストテレスの著書である「霊魂論」は、感覚や記憶、睡眠のことなど、現代の心理学の発展に通じる事柄がたくさん記されています。現代の心理学が扱っているk台について統計的に論述されているため、世界で最初の心理学書と考えられています。
↑アリストテレス ↑こっちの写真の方がわかりやすいかもしれませんねー
アリストテレス以降は、多くの哲学者が様々な立場から人の心を論じてきました。特に心理学の成立に大きな成果を残したのは、心理学の父と言われるヴィルヘルム・ヴントです。生理学者であっヴントは、生理学研究の行き詰まりから、哲学の分野に方向転換し、1879年に心理学実験室を開設しました。ここから現代心理学が著しく発展して行くことになります。
現代心理学・実験心理学の基礎を打ち立てたヴント
ヴントは、心を形ある物体として捉えるのではなく、「意識」というものに注目しました。被験者(実験に協力してくれる人)に様々な刺激を与えて、その瞬間にどのようなことを意識したかを詳しく調べ、心の構成要素を明らかにしようと試みたのです。
そして、いくつもの心的要素の結合を解明することで、人の心の動きを説明しようとしました。
ここで、心的要素の結合を体験してみましょう。
ま図、頭の中に「梅干し」を想像してみてください。
「梅干し」と聞くと、視覚的には<赤くてまん丸・シワシワ>。
触覚的には<柔らかい・硬い>
味覚では<酸っぱい・ほんのり甘い>など、「梅干し」という一つの物体は、様々な構成要素から成り立っていることがわかります。
ヴントは、「梅干し」が様々な構成要素から成り立っているのと同じように、意識も様々な心的要素が結合して成り立っていると考えたのです。そして、意識を構成している要素を取り出し、分析しようと試みました。
このヴントの考え方は、のちに心理学者エドワード・ティッチャナーによって「構成主義心理学」と呼ばれ、現在の心理学の礎になりました。
構成主義心理学と機能主義心理学
構成主義心理学とはほぼ同時に、哲学者ジョン・デューイや哲学者で心理学者のウイリアムズ・ジェームズらのプラグマティズム(実用主義)の哲学を背景とする「機能主義心理学」も発展しました。
機能主義心理学では、意識を環境に対する適応的な行動を導くための手段であると考え、ヴントの考え方とは違う方法で、心を理解しようとしたのです。
つまり、意識を、心的要素の結合によって構成された一つとして捉えるのではなく、一連の流れとして捉え、その流れに注目したのです。
この考え方は、のちの行動主義心理学や認知心理学に大きな影響を与え、構成主義心理学と同様に、現在の心理学の大きな礎となっています。
構成主義心理学と機能主義心理学は、同じ「意識」に着目しているにもかかわらず、全く違う考え方で心を理解しようと試み、お互いが独自に考えを深め、発展していきました。
この2つの考え方が、心理学を多面的で広い枠組みで活かせる学問へと発展させたのです。